世界チャンピオンのダブルアタック ー ラスカーによる名コンビネーション

 今回は1889年に行われたラスカー対バウアーの対局からのワンシーンをお届けします。
 ちなみにラスカーは第2代の世界チャンピオンです。
 図1で白番です。白が押していますが、ここからどのように決めるかが腕の見せ所です。

図1 白番
ラスカー 対 バウアー 1889年

1.Bxh7+!
 ビショップを犠牲にして黒に体勢を立て直す暇を与えません。

1…Kxh7 2.Qxh5+ Kg8 3.Bxg7!!(図2)

図2 黒番

 さらにビショップをもう1つ犠牲にして黒キングを裸にします。

3…Kxg7 4.Qg4+ Kh7 5.Rf3
 6.Rh3#が狙いです。

5…e5(図3)

図3 白番

 クイーンの利きを通して黒も何とかチェックメイトを防ごうとします。

6.Rh3+ Qh6 7.Rxh6+ Kxh6(図4)

図4 白番

 クイーンは犠牲にして黒はチェックメイトを防ぎました。クイーンは取られましたが、代わりにビショップ2個とルークを取っているので、11対9で戦力的には黒が得しています。

8.Qd7!(図5)

図5 黒番

 白には更なる攻め手がありました。ここでテーマのダブルアタックです。ビショップを1つ掠め取り、駒得確定です。

 世界チャンピオンの読みの深さが見られるゲームでした。

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