今回はキング+ルーク対キング+ポーンの2回目ということでルークを使った重要なテクニックをご紹介します。
1.Rg5!(図2)
これで黒キングは5段目から下へ行けなくなりました。白キングが近づいてくるので黒はポーンを進めるくらいしかありませんが以下、1…a4 2.Kg7 a3 3.Rg3!(図3)でポーンが狙われます。
黒のキングとポーンがすっかり分断されてしまっていて守れません。
3…a2 4.Ra3 Kc5 5.Ra2(図4)
これで白は黒の最後の希望の芽を摘み取り、白勝ちです。
キングとルークで相手キングをメイトにする方法はこちらを御覧ください。
黒キングの道を遮断することで、ポーンをサポートできないようにしているのがポイントです。このようにルークによって相手キングの進路を阻んで制限するテクニックはカットオフと呼ばれ、ここだけでなくルークエンディング全般で非常に重要です。
さて先程の図1でもし黒番なら、どうでしょうか。
1…Kb5で引き分けです。2.Rg4と4段目でカットオフしてポーンとキングが離れた隙を見てポーンを取ろうとしても2…a4 3.Kg7 a3 4.Kf6 a2で次の手でポーンが昇格するのを防がなくてはいけないので、5.Rg1(図6)とするしかありません。
しかし、これだと5…c4 6.Ra1 Kb3で黒キングのサポートが間に合います。
では、図1の局面で、手番はそのまま白番で、黒ポーンはb5、黒キングはc6へとそれぞれ1マスずつ右にずれていたとしましょう。
ここでもやはり1.Rg5!とカットオフするのが最善手です。黒は1…Kb6としてポーンを隠れみのにしながら5段目よりも下へ行かれますが、遠回りをしなくてはならないので、黒ポーンが昇格する前に白キングが追いつけます。これは実際に盤に並べて確かめてみてください。
まとめると、ルークを持っている側から見て、5段目以上でのカットオフしか意味がないということになります。5段目以上でカットオフできれば相手キングをほぼ無力化でき、5段目以上でのカットオフができなければルーク側が勝つにはキングと連携して止めに行くしかないが、それはかなり難しくなるというわけです。
と、ルーク側がどのようにポーンによる反撃を防ぐかというのは一旦このくらいにして、次回はキングの使い方に焦点を当てたいと思います。言われてみれば単純なものですが、直感的に少々受け入れづらくそれだけに重要になってくるものです。
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