お互いにルーク1個ずつとポーンが何個かある状態で、一方にだけパスポーンがある場合、ルークを犠牲にしてそのポーンを消し、残ったポーンで反撃するというのが、もう一方にとって重要なプランとなります。その際にルーク対ポーンの形になることが多いので、その局面に関する知識は非常に大きな武器になります。
ルーク対ポーンの場合、ポーンを持っている側は、相手のキングがポーンの最終マスのカバーに入る前に自分のキングでポーンを守りながら進められれば引き分けを取れます。基本的には手数勝負なのですが、手数を数える以外にいくつか重要なアイデアがあります。
今回はその中でサーヴェドラポジションと呼ばれる、ルーク対ポーンのポーン側が勝ってしまうパターンをご紹介します。
1895年に初めてスペインのサーヴェドラによって、このようにポーン側が勝つパターンのスタディが発表されたことにちなんでポジションの名前がつけられています。
1.c7 Rd6+
ポーンを止めなければなりませんが、d8、c5のいずれのマスへも行けないので、チェックするしかありません。
2.Kb5!
2.Kc7としてしまうと、2…Rd7とピンにされ次の手でポーンが取られてしまいます。一方2.Kc5?ならよさそうですが、2…Rd1とルークを広く使うのがうまい手で3.c8=Qに対して、3…Rc1+でクイーンが取られてしまいます。
2…Rd5+
cファイルへ逃げてしまうと、先ほどと同様に3…Rd1で引き分けとなってしまうので、bファイルに沿って盤上を下って行きます。
3.Kb4 Rd4+ 4.Kb3 Rd3+ 5.Kc2!
これで黒はc1でのチェックができなくなり、白は次の手でプロモーションできますが、しかしまだ終わりではありません。
5…Rd4!(図2)
6.c8=R!!
調子に乗って6.c8=Qとしてしまうと6…Rc4+! 7.Qxc4でステールメイトになってしまいます。これが黒の5手目のポイントだったのです。しかし、この6.c8=Rに対して同じアイデアは通用しません。さらに7.Ra8+からのメイト狙いが強力なので、黒はそれを防がなくてはなりません。
ちなみにこのように敢えてクイーンではない駒に昇格することをアンダープロモーションといいます。
6…Ra4 7.Kb3!(図3)
a4のルークに当てつつ、Rc1#を狙っています。二つの狙いを同時に防ぐことはできないので、黒のルークを取れて白勝ちとなります。
次回は単純ながら重要なルークの使い方に焦点を当てていきます。
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